みなさん、こんにちは!志方です。
いよいよ終盤戦に突入する第29回野辺山ウルトラマラソンの後編になります。
それまでの戦いの様子はコチラ

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68km~74km 馬越峠まで
68kmの南相木役場エイドでは、クエン酸コンクのドリンクを飲んでから、さらに水をかぶってから再スタートしました。
するとすぐに、南相木住民のおじいちゃん、おばあちゃんたちが集団になって応援してくれました。
「がんばれー」とか「かっこいいー」とか、昨年にはなかった声援を受けることができました。本当にコロナが収束してよかった。
間もなくするとこれまでにない傾斜のキツイ坂が現れました。
それでも昨年経験しているし、試走もやったおかげでキツイことは覚悟していたので、気持ち的にはここからが勝負という気分でした。
そうやって坂を走っていると、前からきた軽トラのおじいちゃんが
「前と5分差!何やってんだ!!もっと走れ!!!」
さっきの応援とは真逆の厳しい檄をいただきました(笑)
気を取り直して、こちらの坂ですが、馬越峠ばかりに気を取られがちですが、実はこの坂もなかなかの長さと傾斜の坂なので、実はこっちの坂の方が身構えて無い分、心が折れやすいです。
それに加えて、前ももの痛みで爆発寸前の状態の中、上りでさらに痛みつけていきます。
でも、昨年と違って今年は経験しているだけあって、傾斜と坂の長さというのは心得ていたので、そこまでしんどくなく走ることができました。
滝見の湯(71km)を過ぎたあたりでエイドがあって、昨年と同様コーラを飲ませていただきました。
昨年は、ジャグにコーラが入っていましたが、今年は2Lペットボトルが用意されていて、自分でキャップを空けて飲むのですが、一番最初にコーラを飲むようだったらしく、封を開けなければいけませんでした。
何気に70km走ってきて、握力も無い状態でキャップを空けるのもなかなかキツイです(笑)
無事に飲むことができましたが、昨年のような感動はありませんでした。やはり一番初めに体験するのには敵わないようですね。それかまだまだ極限状態じゃなかったのか。
何はともあれ、馬越峠入口に向けて再出発しました。
昨年は馬越峠行く前のこの坂で、一瞬歩いてしまいましたが、今年は歩かずに入口まで辿りつくことができました。やっぱり初見か一回経験しているかでだいぶ違いますね。

この看板で右折すると馬越峠前最後のエイドがあります。ここで回復して馬越峠に向かってくださいねと言わんばかりです。
手持ちのジェルとエイドのポカリスエットを補給して、かぶり水で体を清めてラスボス馬越峠に向かっていきます。
74km~90km 馬越峠と川上村

馬越峠は昨年に引き続き、やっぱり手ごわかった...。
昨年よりも、歩いた距離も止まった回数も減らすことはできましたが、それでも圧倒的絶望感を味わせてくれる坂道。
やはり野辺山ウルトラマラソンの代名詞ともいえる馬越峠は、これまで完走を目指した数々のランナーをDNF(リタイア)させてきただけあります。
試走では、5'30"kmで上ることができていましたが、さすがに70km以上走ってきた足には、そこまでのペースで上る元気はありません。
昨年は、この馬越峠でおさるさん(安田さん)をとらえることができましたが、今年はとらえることができませんでした。(昨年の失敗からここで頑張って追いつくようにしなかったのもある)
死力を尽くして頂上についてすぐにエイドがあり、これまでで疲弊した体を癒すべくコーラをいただきます。

そこで、コースの先に目をやると、おさるさん(安田さん)が下り始めているのを見ました。
ここでようやく、先頭の後ろ姿を見ることができました。ここから20kmずっとこの後ろ姿を見続けることになるとは、この時は思いもしませんでしたが....。
コーラを飲んで気合を入れなおして、今度は上ってきた分、一気に下り始めます。
85kmまで下りっぱなしだから、実に5kmちょっとの距離をずっと下ります。
80kmまで走ってきて、前ももはずっと限界の中走り続けていて、いつ止まってもおかしくない状態の中、さらにこの下りで前ももを痛みつけてきます。
追いつけそうで追いつけないおさるさんの姿を追いながら、下りが終わり、川上村に入ってもその追いつけない感じは続きました。
その状況のまま昨年、苦しめに苦しめられた90kmを迎えます。
90km~100km ゴール 魔のラスト10km
昨年、このラスト10kmで優勝に手がかかってたのに取りこぼしてしまいました。
この残り10kmを歩きに歩いたことによって、ラップタイムが61分もかかってしまったので、今年はこの10kmをいかに50分に近づけるかというのを目指してやってきました。
今年は90kmを迎えた時点では、前ももは終わってましたが、体全体としてはまだいける状態で、ここでおさるさんをとらえられるつもりで走ってました。
90kmからはじまる南牧村に向かう上り坂で、昨年と違ってほとんど歩くことなく走り続けることができました。
おさるさんの背中は近づいているんだけど、すぐには追いつかない、手が届きそうで手が届かない先ほどの状態が、この90km過ぎてもなお続いていました。
この得意な上りで、だいぶ迫ったとはいえ、ついに追いつくことができず、それでも焦ってしまうと昨年の二の舞になるので、いつかは追いつくと思いマイペースを維持して走りました。
そしてついに92kmのエイドの手前で追いつきました。
エイドではおさるさん(安田さん)は水分を補給したら、足早にスタートしていってしまい、僕はマイペースにエイドを後にしました。ここで最後のジェルを補給しておきました。

すでに射程圏内にいるから焦らないと思っていたら、意外と追いつかない。さっきと同じで差は縮まっているんだけど、すぐには追いつけない。そしてついに94km付近で2度目ですが、追いつくことができました。
よし、このまま追い抜いてビクトリーロードをと思っていたら
「志方くんの去年のブログ読ませてもらったよ。3部作で読み応えあったよ。」
「ありがとうございます。」と僕は言いつつ、なんか違和感。
追いつかれてるはずなのに、なんだろうこの余裕は。
「一緒にゴールするとかどう?おもしろそうじゃない?」
まさかのおさるさん(安田さん)からの提案。というか、もしかして追いつかれるのを待ってた?
とらえたからこっちが優位に立ってると思いきや、まさかの相手の方が1枚上手だったことに気づかされました。
確かに100kmで2人同時ゴールって前代未聞だし、おもしろそうではあるけど、この場合優勝はどうなるの?と聞くと
僕の方が後ろからスタートしているから僕が優勝するとのことでした。
実力で優勝するならまだしも、安田さんが僕に合わせる形で優勝するというのは、素直に喜べるのか?いや喜べない。
市民ランナーは自己成長を確認できるからこそ楽しいのであって、八百長で優勝してしまうのはちょっと違う。でも優勝はしたい(笑)
そんな複雑な心境でしたが、体の状態的にこの前ももでペース維持はかろうじてできても、ペースアップは厳しい。おさるさん(安田さん)の方は、まだ余力を隠してそうでした。
一緒にゴールをするしないという話を1kmぐらい続けながら、最終的に僕が
「2連覇をすることができるのは、安田さんしかいないですよ。」
この言葉で納得してもらえたのか、この話はここで終わりました。

僕はもう、前ももが限界の限界を超えた状態で、最後の最後のアップダウンで歩いたりしてしまっていると、それでもおさるさん(安田さん)は待ってくれている感じでした。
そして最後のエイドを2人で寄って、2人同時にスタートするとおさるさん(安田さん)のペースが少し上がりました。さすがにこのペースアップはこの状態では無理と思い、先に行ってもらうようにしました。
諦めたらそこで試合終了ですよ
スラムダンクの安西先生の言葉。
僕は優勝する最後の望みであるスタート時のロス内で差を留めることに懸けました。
ですが、もう何度限界を超えたかわからないこの前ももが言うことを聞いてくれず、何回か立ち止まったりを繰り返してしまいました。それでも昨年から成長した姿を見せたいと思い歩くことは最小限に食い留めます。

そして踏切を渡って、本来ビクトリーロードにするはずだった直線をギリギリの状態で乗り越え、左に曲がってようやく、100kmという長い長い過酷なマラソンの終止符を打つためのゴールテープが待っていました。

今年は、また足に力が入らなくなってコケそうになりましたが、一瞬立ち止まってなんとか堪えました。

昨年はうつむき加減でゴールテープを切りましたが、今年はどんな順位であれ笑顔でゴールすると決めていたので、2位でしたがガッツポーズをしてゴールしました。

ゴールの先には、おさるさん(安田さん)が待ってくれてました。

8時間15分15秒
第29回野辺山ウルトラマラソン2023 100kmを走り終えて

昨年は、ラスト10kmがすべての敗因だと思い、今年はそこの改善を心がけました。
昨年のラスト10kmは61分かかっていて、今年は54分と7分短縮することができました。
それに加えて、馬越峠のある70km~80kmの10kmは昨年は57分で、今年は53分と約4分の短縮をすることができました。
昨年のおさるさん(安田さん)だったら、今年の僕の走りで勝つことができました。
僕の想定で昨年のおさるさん(安田さん)のままアップデートしていなかったので、そこが最後誤算でした。
そりゃ、1年経てば強くなるよねってことで、そこを頭に入れてなかったのが今回の2位という結果でした。
昨年も書きましたが、おさるさん(安田さん)の野辺山ウルトラマラソンに懸ける想いというのは尋常じゃなく、今回で12回目の完走を誇るその12回に安田さんのサクセスストーリーが詰め込まれてます。
その想いを持った相手に勝つというのは、並大抵のことじゃできないというのを昨年に引き続き思い知らされました。
おさるさん(安田さん)、優勝と2連覇おめでとうございます。今年もデッドヒートを繰り広げることができて光栄です。(3度目はもうしたくない)

僕のことについては、3月の東京マラソンを終えてからイマイチ気分が乗らず、3月いっぱいは走っているけど、気持ちは走ってないような状態で、やる気のかけらもありませんでした。
4月に入ってから、ウルトラマラソンに向けての練習を本格的に開始してから、ようやくエンジンがかかってきて、昨年よりも練習をすることができました。(よくあの状態から走る状態にまで持って行ったなと我ながら思う)
正直、4月はウルトラに向けた練習以外でも忙しい時期で、5月に入っても疲労が取り切れずにウルトラの練習自体が、いやになりつつありました。
それでも、家族のサポートや村の人たちのかけてくれる期待のおかげで何とかスタートラインまでこぎつけました。支えられている人がいたからこそ、2位という好成績を残すことができました。感謝したいと思います。
最後に今年も安全に配慮した運営で開催をしてくださった大会関係者の皆様に感謝を申し上げたいと思います。キツくて楽しい100kmでした。ありがとうございました。
今回の補給は以下になります。
- メダリスト ブドウ味 200ml(後日詳細を書きます。)
- ジェル8個
- 各エイドのドリンク(ポカリスウェット、クエン酸コンク、コーラ)
- ういろう
最後の最後に言いたいのは、野辺山のコースで8時間切りってどうするの?です。たぶん練習だと思いますが(笑)
長い文章になりましたが、最後まで読んでくださりありがとうございます。これにて2023年の野辺山ウルトラマラソン100kmは終わりです。出場者のみなさんお疲れ様でした。
~完~

