みなさん、こんにちは!志方です。
5/22に行われた野辺山ウルトラマラソンを完走してから、もう2週間が経とうとしています。筋肉痛もようやく無くなりつつあります。

こんなに長く続いた筋肉痛は今までで初めてです。それぐらい改めて、100㎞というレースを走るということはどんでもないことだったんだなと身に染みて感じました。
そんな体にダメージを与えた、野辺山ウルトラマラソンのレースの振り返りの後編を書きたいと思います。
67㎞~74㎞ 馬越峠まで
67㎞の部のゴール地点を横目に100㎞の部である自分はさらに上りを上っていきます。
68㎞地点の南相木村役場のエイドに到着。今回初めてエイドにあるスポーツドリンクを補給し、頭の上から水をかけまくりました。
おかげで気分転換になり、またがんばろうという気分になりました。エイドを離れ、気合を入れなおすといきなり上り坂が...
これまでの上りの中で一番傾斜のキツイ坂がここでやってきました。"ここでこの角度の坂くる??"とか思いながらも、足はなんとか止めずに上ります。
70㎞付近で嫁をはじめとした応援団が待ち構えてくれ、飲み物だったりのサポートをしてくれました。ここでも少し気合が入りましたが、さすがに70㎞も走ってきている中、残り30㎞も残っているというのは精神的に堪えます。
70㎞地点はキレイな湖があるのですが、見る余裕もなくただひたすら上っていきます。
しばらくすると滝見の湯が見えてきましたが、今年は71㎞の部ではなく、67㎞の部に変更となっていたのでここでのエイドはありませんでした。気分転換をしたかったですが、ここは踏ん張りどころと思い、滝見の湯を通過していきます。
そうやって、頑張っていたら、すぐにエイドが見えてきました。滝見の湯の代わりにできたエイドのようです。簡易的なテントのエイドでしたが、ここにはコーラがあったので、コーラを補給することに。
いや、うまっっ!!
最近はあまりコーラを飲むことはなかったのですが、この極限状態で飲むコーラは今まで飲んだコーラの中で一番おいしかったです。しかもご親切に″コーラでのエネルギー補給は効率がいい"と貼り紙をしていたので、もう一杯飲むことに。
コーラの効果は結構大きく、精神的に元気になってきました。気合を入れなおして、再出発します。
ちなみに68㎞の南相木役場からここまでずっと上り坂です。あまりにも上り坂が続いているせいか、滝見の湯を過ぎたあたりから、"あれ?もう馬越峠に入ってる??"と錯覚するほどでした。
そしてもう上り坂を上り続けることに限界を感じ72㎞地点で初めて歩きました。
あまり歩きすぎると時間がかかってしまうので、10歩ほど歩いたらまた走るようにしました。それを2回ほど繰り返したのち、また走り続けると看板が見えてきました。
馬越峠➡
"今までの上りは馬越峠じゃなかったの?(^^;)ということは今までは前座で、ここからが本番か..."
これが、野辺山ウルトラマラソンの過酷さを物語っていました。6㎞程続いた上り坂も馬越峠の1部ですらなく、ここから傾斜のキツイ馬越峠が始まろうとしているのです。
馬越峠に入る前に、ここでHPを満タンにしてくださいねと言わんばかりのエイドがありました。
ここでは水を被り、コーラは無かったので、スポーツドリンクを補給することにしました。ジェルもここで補給して野辺山の"ラスボス馬越峠"に向かっていきます。
74㎞馬越峠~90㎞
やはり、馬越峠は手ごわかった....。入ってすぐに走ることを止めて歩いて、走ってを繰り返す状態に。
確かに、傾斜はすごいし、距離も長い。でも普通に走ればそんなに上れない上りではない。だけどさすがに74㎞走ってきてこの坂はないよ~。
もう動かない足を何とか前に進ませて、なんとか峠の中腹にあるエイドに到着。
ここではスポーツドリンクしか置いてなかった気がするので(記憶曖昧)、スポーツドリンクを補給して、少し休憩をしました。(と言っても数十秒くらいでしたが)
また走り出してもキツさはそう変わることもなく、"はやく峠終わってくれー"と願うばかりでした。
そうやって、走ったり、歩いたりを繰り返していくうちについに見えてきました。トップを走る選手が。
ん?サルの被りものしてるおサルさん!!??
ここまで後ろ姿を見せてこなかったぐらいの走力ですから、相当な実力なはずです。でもようやくトップ選手を見ることができ、元気が出てきました。その一方で焦ってペースを上げて追い抜いてもその後にガクッと走れなくなってはダメなので、歩きつつ様子を見ることにしました。
歩きながらでも、追いついてきてるぞ...。追い抜くのも時間の問題だな。
馬越峠の頂上の少し前で先頭の選手を抜かすことができました。ゼッケンを見ると数字ではなく、名前のゼッケンで、野辺山ウルトラ100㎞を10回完走した選手に与えられる"デカフォレスト"の名もゼッケン刻まれていました。名前は安田 亮さんという方でした。
10回も完走した猛者だから、力を溜めているのか?と思いもしましたが、スピードでは負けないという100㎞のレースでは必要ない部分で自分を納得させ、引き離すことにしました。
79㎞地点に到達して、エイドとともに馬越峠の頂上が見えてきました。馬越峠を攻略できたというのと、トップに立ったということもあり、まだ20㎞以上距離を残していましたが、達成感が半端なかったです。
野辺山ウルトラは馬越峠を上り切ってからコースの半分と思えと言われていたので、ようやくコースの半分に到達しましたが、その時はそんなことも忘れて、残り20㎞ということばかり頭がいっぱいでした。
ここで勝利(まだ早い)のコーラを一気に飲み干し、今度は一気に下り始めます。
この下りで回復するかと思いきや、85㎞まで6㎞の距離を一気に下ります。ここでさらに足を痛みつけます。下り切ってもそれなりに元気だったので、これはもしかしたら優勝もありえるんじゃ...と現実味を帯びてきました。90㎞以降のキツさが来ることを知らずに...
90㎞~100㎞ゴール 本当のラスボス魔のラスト10㎞
90㎞までは順調に走ってくることができました。
ここまでくれば、残り10㎞。いつも走ってる距離よりも少ないからもう大丈夫だと思っていました。しかし、ここできたのはまたしても上り坂。
ここも傾斜がきつく、走っては歩き、走っては歩きを繰り返しました。優勝するには少しでも歩かずに走らないとと思いましたが、ここにきての上り坂はさすがに足が動かなかったです。
1㎞ちょっと上り、ようやく平坦が見えてきて、上りが終わったと安堵して、後ろを振り返ると
え??おサルさん(安田さん)の姿が見えるんですけど?????
そう思った瞬間、"自分の足の状態とこの体の状態から逃げ切れるのか?"という不安が一気に襲い掛かり、精神的にも余裕が全くなくなりました。
92㎞のエイドでは嫁と嫁の親戚の人たちや地元の知り合いの人達も応援してくれていましたが、体はもうほとんど動けず、後ろから迫ってくる安田さんの恐怖しか感じなかったです。ここではスポーツドリンクと水を被り、逃げ切らないとと決意を新たにしましたが、走りだすとやっぱり体は動いてくれません。
残り8㎞。普段だったら疲労取りのjogの距離でしたが、この8㎞は今までで一番長く感じた8㎞となりました。走っては歩き、後ろを確認し、距離が縮まっているのはわかるので、なんとか走りだし、でももう走れないからまた歩く。それの繰り返しでした。
地元の知り合いの方が少し並走をしながら、僕に「大丈夫だから、こっちもキツイけど、向こうもそこまで縮めてきてないからキツイはずだから、逃げ切れる」と励ましてくれました。おかげでこの間はそんなに歩かずに走ることができました。

96.7㎞で地元野辺山にも帰ってきて、最後のエイドに到着しました。ここもコーラを補給し、なんとか逃げようと走り出します。
でももう明らかに姿が大きくなっていて、いつ抜かれてもおかしくない差まで近づいていました。
97㎞でついに安田さんに追い抜かれてしまいました。でもこちらはもう抵抗する力も残っておらず、安田さん(おさるさん)の後ろ姿が小さくなっていくのを、ただ見ることしかできませんでした。
歩いて、走ってを繰り返すことしかできない僕でしたが、安田さんはペースは上がっていないながらも、歩くことはありませんでした。
"これが、デカフォレストの称号を持った方の力..."
抵抗する力を失った僕はその力の前に屈しました。
ラスト1㎞を切って、ようやく終わりが見え始めて、ここからは歩かずに行こうと決心しますが、今度はふくらはぎが攣りそうになりました。もうランニングフォームを考える余裕もなく、人生で1番汚いランニングフォームで最後の直線に入りました。
ゴール直前で太ももに力が入らなくなり、転倒してしまいましたが、ゴールは目の前だったのですぐに起き上がり何とかゴール。
優勝された安田さんからは約1分遅れて2位でゴールすることができました。

8時間19分39秒
野辺山ウルトラマラソン100㎞を走り終えて
スタートする前は完走できれば良いとか9時間切れれば良いとか思っていましたが、いざレースを走って、先頭にも一時立ったことを考えると2位というのは悔しくて優勝したかったという思いがでてきました。
ですが、優勝された安田さんはこの野辺山100㎞に対する思い入れが、ものすごく強くて優勝するために練習を積んでこられたというのをレース後にお聞きしました。
その話を聞くと、勝つべくして勝ったんだなと思いましたし、僕の100㎞に対する思いでは到底勝つことはできなかったと思いました。あとになって、あそこで足を使わなかったら違ったのかなとか考えたりしますが、結局安田さんの100㎞に懸ける思いを考えるとどうあがいても勝てなかったと思います。
それでも最後の最後まで安田さんとデットヒートを繰り広げられたのはとても光栄なことですし、貴重な経験になりました。安田さん、ありがとうございました。そして優勝おめでとうございます。

勝つためには練習量がまだまだ足りなかったと思い知らされましたが、100㎞を走れるようにする練習をするのか、フルマラソンを走れるようにする練習をするかどっちか選べと言われると、今はフルマラソンの記録を向上させたいと考えているので、100㎞のための練習というのは今後もしないと思います。
とはいえ、野辺山に住んでいる限り、野辺山ウルトラマラソン100㎞を出場しないというのはできないと思うので、また挑戦するときは、今回の反省を踏まえて練習をやろうと思います。次は優勝するつもりで。
それと今回は地元ということもあり、嫁をはじめとしたたくさんの方に応援していただきました。こんなに応援が力になったのは今までで初めてでした。今回の結果は自分だけの力ではなく、みんなに支えられて得られた結果だとみんなに感謝したいと思います。
最後になりますが、今回このようなご時世の中、3年ぶりに大会を開催してくださった関係者のみなさまに感謝したいと思います。おかげさまでかなりキツイ100㎞も楽しんで走ることができました。ありがとうございました。
あと、今回の補給は以下になります。
- メダリスト600ml
- ジェル9個
- コーラ (エイド)
- スポーツドリンク (エイド)
前日の夕食と朝食で炭水化物を大量にとったので、レース中は案外固形のものは取らずにジェルだけで何とかなりました。参考にしていいかは人それぞれ違いますので、そういう例もあるよぐらいにしてください。
長くなってしまいましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。これにて野辺山ウルトラマラソン100㎞編は終了となります。 それでは!