
みなさん、こんにちは!志方です。
よく、ランナーの方々の会話の中に「乳酸が溜まってしんどい。」や「乳酸で動かなくなった。」
と、乳酸=疲労物質 の認識で話されている方も多いかと思います。
かくいう、僕も高校まではその1人でした(笑)。
現代では研究が進められており、乳酸=疲労物質 ではないとされています。
今日は、その乳酸についてお話したいと思います。

マラソン・ランニングのオンラインコーチングをやっています。(https://runfarmer-shikata.com/?page_id=17)コチラからお気軽にお問合せください。あとTwitter,Instagramもやっています。
乳酸とは
乳酸は、運動時に糖を分解したときに発生する生成物です。
ランニングでいうと、スピードが上がっていくと脂質をエネルギーに換えるところが、糖質をメインでエネルギーに換えて上がっていく運動強度に対応しようとします。
その糖質をエネルギーに換える際に出てくるのが乳酸になります。
乳酸=疲労物質ではない

冒頭で書いた通り、乳酸=疲労物質 というのは昔の常識で、今は研究が進み、疲労はいろいろな原因が絡み合って起こるのであって、乳酸が疲労を引き起こすというのは間違いであるとされてます。
むしろ乳酸はエネルギーとして活用されるので、乳酸が溜まるということはなく短時間(30分とか)で消えるため、乳酸が溜まって疲れてるわという表現は間違いになります。
乳酸が疲労物質と認識されていた理由
乳酸はエネルギー源として再利用されるのですが、乳酸の生成が再利用するよりも上回ってしまうと、乳酸が蓄積されてしまうことになります。
乳酸が身体に急激に多く発生するポイントをLT値と呼ばれていて、このタイミングで疲労感を感じることから、乳酸=疲労物質 という認識となりました。
乳酸が多く発生すると、体が若干酸性に傾くことであったり、糖の蓄えが少なくなることからということも、筋肉疲労の原因とされてきました。
しかし現在では、筋収縮阻害を防ぐという役割もあるということから、むしろ筋肉疲労を防ぐ役割もあると言われています。
繰り返しになりますが、様々な原因が重なりあって疲労を感じることになるので、乳酸だけが疲労の原因ではないとなります。
速筋繊維と遅筋繊維

ランニングをしている方なら、聞いたことがある速筋と遅筋。
両筋繊維は読んで字のごとく、
速筋
- 短距離的なスピードを出す際に使われる筋繊維
- 持久系の能力は低い
- 乳酸は速筋から発生する
- ミトコンドリアの数が少ない
遅筋
- 遅い速度の時に使われる筋肉
- 小さな力を長時間出し続けることができる
- マラソンでは特に使われる
- ミトコンドリアの数が多い
乳酸とミトコンドリアの関係

乳酸をエネルギーに換えるには、ミトコンドリアがやってくれます。
乳酸→ピルビン酸になり、そのピルビン酸をミトコンドリアがエネルギーとして利用するこになります。
この記事でいきなり出てきたこのミトコンドリアは、そのほかにも運動中に必要なエネルギーを作り出していて、よくエネルギー生産工場なんて言われたりもします。
速筋で出された乳酸は、遅筋に多く存在しているミトコンドリアのエネルギーとなり、遅筋のエネルギーにもなり持久力の向上にもなります。
ミトコンドリアは、乳酸以外にも脂質や糖のエネルギー変換もやってくれていて、運動中のエネルギー代謝はこのミトコンドリアがほぼ担っていることになります。
マラソンに限らず、運動中のエネルギー代謝の主役はミトコンドリアになります。
ミトコンドリアを増やすことによって、脂質を利用してエネルギー変換する能力が向上するので、
その結果、糖の消費を抑えることができることから、マラソントレーニングにおいてミトコンドリアを増やすことが重要事項ということがわかります。
ミトコンドリアを増やすトレーニング

マラソンでの走力を向上させるためにミトコンドリアを増やすことが重要になります。
ロンドンオリンピックでマラソン代表だった藤原 新さんもミトコンドリアを意識してトレーニングをされていたと聞いたことがあります。
ミトコンドリアを増やすには、エサ(表現としては正しいのか?)となる乳酸を発生させるようなことや、
毛細血管を増やして酸素や脂肪酸などをどんどん運ぶことで、エネルギー生産工場であるミトコンドリアがどんどん増えたり大きくなったりしていきます、
このミトコンドリアを増やすトレーニングとしては、高強度インターバルやLT値付近で走るペース走になります。
高強度インターバル

藤原新さんは、3000mや5000mなどのインターバルトレーニングを速いペースで行ったり、1000m×10をこれまた速いペースで行っていたりしていたそうです。
ただ単に、速くなるためにトレーニングで速く走らないといけないという認識よりも、マラソンで結果を残すためには、ミトコンドリアの量を増やすことが必要だから、このトレーニングを頑張ろうという認識で行うのとでは、トレーニングに向かう意識がまるで変ってくると思います。
やや根性論っぽい話になりますが、ただ速く走らないといけないと思うより、こういう理由があるからこのペースで走る必要性があると思う方が身になっていきます。
話は少し逸れてしまいましたが、高強度インターバルには、先ほど書いた3000mや5000mのインターバル、1000m×10のようなインターバルの他に
タバタトレーニングといういわゆるHIITと言われるものになります。
具体的には、20秒の高強度運動+10秒レストを6~8セット行います。
このトレーニング、難しいのは、きつすぎて6~8本まで行けなかったらダメだし、8本終わってもまだいける状態だったら、強度としては間違っていることになります。
実業団時代に後輩がやっていたのは、150mをダッシュして、10秒レストをして、また150mダッシュというのを6~8本行っていました。
日本のトップレベルだと150mぐらいで20秒になりますから、こうやって距離を決めてやる方が力を出し切りやすいですよね。
みなさんも20秒ダッシュしてみて、その距離を測ってからその距離でHIITをやってみましょう。
ペース走
ミトコンドリアを増やすトレーニングとしてのもう一つは、以前記事にもしたペース走になります。
LT値付近のペース=ATペースあたりの乳酸が急激に発生するかしないかのあたりで走り続けることによって、乳酸の処理能力を向上させることができます。
ということは、ミトコンドリアの能力向上ということと同義になります。
このペース走も、ただ単にペースに慣れるだけの練習と思って行うのか、ミトコンドリアの能力を向上させるためのトレーニングと思ってやるのかで、練習に対する意欲が変わってきます。
初心者は走るだけで、ミトコンドリアが増えます。

ランニングを最近はじめられた方は、先程までのトレーニングを見てうげっと思われたかと思いますが、安心してください。
初心者の方は、まず走ること自体がミトコンドリアを増やすトレーニングとなります。
ランニングを継続し始めて、その刺激に慣れてきたころに、高強度インターバルやペース走を行うようにしましょう。
何事も継続は力なりですよ!!
まとめ 乳酸の話からミトコンドリアの話になっちゃった
乳酸自体は疲労物質ではないということが、この記事で言いたかったので、早々に結論を書いてしまいましたが、
乳酸をエネルギーにするためにミトコンドリアが登場して、そのミトコンドリアが持久系能力に非常に重要ということがお分かりいただけたと思います。
正直、この分野に関しては、もっと詳しく書かないといけないのですが、書きすぎてしまうと専門用語が出過ぎてしまうので、かなり端折りました。
僕もこの辺の知識をもっとつけて、わかりやすく伝えられるようにしていきたいですね。
明日から、乳酸を意識してトレーニングしましょう。
参考記事
ランナー必見!効果的・効率的にミトコンドリアを増やす最先端のトレーニング方法とは!? | RDC MAG (zone-project.com)
藤原の錬「金」工場!ミトコンドリア大量生産 - 秘技解剖~五輪メダル候補に迫る~ コラム ロンドン五輪 : nikkansports.com
乳酸トレーニング 乳酸を出してミトコンドリアを増やそう! | ロードバイクはやめられない (chan-bike.com)